思っている以上に大切な歯の健康
実は女性に多い歯周病
歯周病は自分に関係ない病気だと思っていませんか?実態としては、女性のほうが体質的に歯周病になりやすいのです。
歯周病患者数では女性が約1.5倍。女性のほうが圧倒的に多いのです。
女性が歯周病になりやすい理由は、女性ホルモンにあります。排卵後の前後、妊娠期では女性ホルモンが急激に増加。女性ホルモンのエストロゲンは、歯周病菌を増殖させ、進行を促進させます。
妊娠期では、つわりや体調不良で歯のケアが滞りがちです。そのため、より歯周病が悪化しやすくなります。
また、更年期はホルモンバランスの乱れによって、歯周病が進行しやすくなります。
歯周病について
歯周病とは歯肉炎・歯周炎の総称です。歯周病は気づかぬうちに進行し、最悪、歯が抜けてしまう恐ろしい病気です。
歯周病を予防する第一歩として、歯周病について知っておきましょう。
歯周病は歯周ポケットと呼ばれる、歯と歯茎の間にある溝から始まります。
歯磨きが正しくできていないと、次第に歯周ポケットに細菌がたまっていき、炎症を起こしてしまいます。
そのため、歯周病は徐々に進行する病気です。症状が軽度のうちにしっかりケアしておけば症状も収まっていきます。
初期段階だと痛みがほとんどないため、症状に気づかず、放置しがちです。しかし、放置していると段々進行していくので、しっかりとケアすることが大切です。
歯周病を防ぐには
歯周病予防の基本は歯垢がつかないようにすること。毎日の歯磨きや定期的な歯石除去が有効です。
正しく歯磨きをする
歯磨きは自己流だと正しく磨けていなかったりします。磨き残しがあると歯垢が残ってしまい歯周病菌の温床に。正しい歯磨きを覚えましょう。
1.歯と歯茎の間に歯ブラシを45度の角度で当て、細かく横に振動します。
2.歯ブラシを垂直に当てて、歯と歯茎の間に毛先を入れ、細かく振動します。
3.前歯の裏側は、縦に歯ブラシを当てて磨きます。
4.口の中を歯に沿って、一筆書きのように順番に磨いていくと磨き残しがなくなります。
歯ブラシの選び方
歯ブラシは隅々まで毛先が当たるようにヘッドが小さく、歯垢を落としやすくするため、歯茎を傷つけない程度の硬さがあるものを選ぶといいでしょう。
歯ブラシは毛先が開いてくると歯垢を落とす能力が落ちているので、交換の目安となります。
また、見た目に変化がなくても1カ月ほど使っていると弾力が劣ってくるので交換をおすすめします。
歯間ブラシも活用する
歯ブラシで磨きにくい部分をしっかり落とすために歯間ブラシも利用するといいでしょう。
定期的に歯科医による検診を受けよう
最近では1年に3~4回の歯周病や虫歯の予防のために定期検診が一般的になりつつあります。毎日の歯磨きに加えて、歯科医の定期検診を受けることで、歯周病や虫歯のリスクを減らせます。
健康な歯を保つために、毎日のセルフケアだけではなくプロフェッショナルケアを受けることも大切です。
定期検診のメリット
定期検診の最大のメリットは歯周病や虫歯を早く見つけて、早期治療ができるところです。虫歯が悪化すると神経を取らなければならなかったり、前歯だと高価なセラミックの被せ物をしなければなりません。
治療による通院回数も増えますし、費用も高額になっていきます。定期検診を行うことで、将来支払うであろう治療費を抑えられるのです。
定期検診ですること
まず、歯科衛生士が歯茎の炎症の状態をチェック。口臭がある場合、歯周病や虫歯の可能性があります。同時に痛いところがないか、日ごろから気になるところがないかなど話を聞きます。
次に歯周ポケットの検査です。専用の器具を使って歯周ポケットの深さを測ります。その際、歯茎の出血や歯のぐらつきがないかを確認し、数値で記録します。
そして、歯垢・歯石の除去です。エアフローを使ってきれいに落としていきます。
エアフローとは歯のクリーニングで使う機械です。超微粒子パウダーをジェット噴射で歯に吹き付けると同時に水で洗い流し、歯の汚れを落としきれいに落とします。
また、歯周ポケット内の細菌を除去する効果が高いため、歯周病治療にも用いられます。
最後にフッ素塗布です。フッ素は虫歯を防ぎ、歯質の強化に効果があります。
定期検診の費用について
定期検診は保険が適用されるので3割負担の場合、3,000円程度です。1年に3~4回の定期健診だと年間の費用は決して安いとはいえないかもしれません。
しかし、検診を受けなかった場合、歯周病や虫歯のリスクが高まるので、治療費と比較すると安い費用ですみます。
何よりも自分の歯を長く保つためにも定期健診をうけましょう。
欧米で評判の悪い日本人の歯並び
欧米では子どものころから歯列矯正を行い、ホワイトニングも一般的です。一方、日本はそれなりの地位に就く人でも、歯科矯正をしている人はあまりいません。
欧米人から見ると高い地位にいるにもかかわらず、歯をケアするお金もないのかと思われています。
日本でも身だしなみが大切なのは理解されていますが、欧米では歯並びも身だしなみのひとつなのです。喫煙や肥満と並び、歯並びはネガティブにとらえられます。
これらは自分でコントロールできるからです。できていないと自分に甘く、自己管理できない人と見なされてしまいます。
歯列矯正を受ける人が増えている
歯列矯正は子供のうちでやっておくことと思われがちですが、30~40代、さらに50代でも歯周組織が健康なら、年齢に関係なく治療可能です。
また、かぶせた歯があったり、差し歯やブリッジが入っていてもできます。
歯列矯正のメリット
大人になってから歯列矯正をするメリットはたくさんあります。
小児矯正に比べて期間が短い
子どもの矯正と比べると、治療時間が短くなります。子どもの場合、乳児から永久歯への生え変わりがあるので、矯正の内容が2段階に分かれ全体で4~5年かかります。
大人は程度によりますが2年ほどが多く、長くても3年です。
治療計画が立てやすい
大人は骨の成長が終わっているので、事前に治療計画を立てられるというメリットがあります。小児矯正だと子供の成長によって計画変更がありえるからです。
大人の場合、そのようなことはありません。
歯周病・虫歯の予防につながる
歯並びが良くなると、歯のでこぼこが少なくなるので、歯磨きがしっかりできるようになります。歯垢がキレイに落とせるので、虫歯になりにくく、歯周病も予防できます。
性格が前向きになる
歯列矯正をした人の中には明るくなったといわれることが増えたという意見があります。歯並びに自信がないと無意識に口を隠してしまい、心からの笑顔ができないようです。
しかし、歯列矯正によって歯がキレイになると自信がつき、自然と笑顔が出るようになります。笑顔の有無はコミュニケーションの質を大きく変え、良い印象に。
また、内面にも大きな効果を及ぼします。笑顔には快感や多幸感をもたらすドーパミンなどが分泌されるといわれており、笑顔になることで自信を持てるようになります。
歯列矯正の方法
歯列矯正といえば金属製のブランケットと呼ばれる矯正器具をつけるイメージがありますが、現在の歯列矯正はさまざまな方法があり、使われる装置も豊富です。
ワイヤー矯正・ラビアル矯正
最も一般的な矯正方法で、金属製のブランケットをワイヤーで歯の表側に装着する矯正方法です。他の矯正方法と比べて安価で丈夫なのがメリット。
金属製のブランケット以外に、セラミック製やプラスチック製の審美ブランケットもあります。
審美ブランケットは、ブランケット自体が透明や白色で目立ちにくいため、見た目が気になる人におすすめです。ただし、金属製に比べて耐久性は劣るといわれています。
裏側矯正
歯の表面ではなく、歯の裏側にブランケットを装着する矯正方法です。矯正器具が見えないことが最大のメリットで、矯正中であると知られたくな人におすすめです。
舌が触れる位置に器具があるので、異物感や違和感が気になるかもしれませんが、慣れれば気にならなくなります。
費用は表側に取り付けるよりも割高ですが、歯列全体ではなく気になる部分だけ矯正する部分矯正であれば、費用を抑えられます。
マウスピース矯正(インビザライン)
自身の歯並びにあわせて透明のマウスピースを製作し、それを装着する方法です。透明なマウスピースなので目立ちにくく、マウスピースを外して歯磨きできるので、ブランケットに比べ矯正中の虫歯や歯周病のリスクを抑えられます。
デメリットととしてはワイヤー矯正に比べて、歯にかかる力が緩やかなので治療期間が長くかかります。1日20時間程度マウスピースを装着しないといけないので、それが負担に感じるかもしれません。
オーダーメイドのマウスピースの製作、治療過程で新しいマウスピースを作る必要があるなど、場合によってはワイヤー矯正より費用が高くなる場合もあります。
部分矯正
前歯だけ、特定の歯だけという場合、部分的に歯列矯正する方法を部分矯正といいます。歯にブランケットを装着するワイヤー矯正が主流です。
部分的なので、全体的に歯列矯正を行うより期間も短く、費用を抑えることができます。歯並びによっては部分矯正できない場合もありますので、医師と相談しながら治療法を決める必要があります。
矯正治療中は治療器具の違和感や見た目は気になるかもしれません。しかし、矯正治療が完了すれば見た目のコンプレックスを気にすることがなくなります。
歯の健康を保つには、毎日のケアと歯医者への定期検診が大切です。そして、歯列矯正を行うことで、歯のケアにかかる手間を減らせます。
歯周病の原因である歯垢の磨き残しは、歯並びが悪いとどんなに注意しても多くなるといいます。
歯並びを治して口内がケアしやすくなると、歯磨きの手間だけではなく、治療にかかる費用も大きく下げられるので、30~40代の歯列矯正は決して遅くありません。